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祈祷課題
東京のある教会の震災対策担当の方から、
祈祷課題を、求められました。
まとめてみますと、
今の私たちの状況が少し浮き彫りにできるような気がしました。
震災・津波と原発事故の大きさを考えると、
自分たちの力の小ささを思わざるを得ません。
それでも、怯むことができないのが現場です。
そこに立ちおおすためには、祈りの支援が不可欠なのです。
本年発生した東日本大震災で被災された教会・被災者を支援するため、
東北ヘルプは活動を始めました。
この一年は、みなさまさまのお支えと祈りなしに
乗り越えることができないものでした。
みなさまに心から感謝申し上げますとともに
どうぞ、祈祷課題を共有くださり、
2012年もご支援いただけますよう、
伏してお願いを申し上げ、
以下に祈祷課題をお知らせする次第です。
(2011年12月25日 川上直哉 記)
○○様
主のご降誕、心から感謝しつつ、喜びのご挨拶をいたします。
メールをありがとうございました。
日曜日より前に、返信を認めたかったのですが、
やはり、25日のクリスマス前、
思う通りにはいきませんでした。
被災地の祈祷課題は、
多くあるように思われますが、
いくつかのキーワードで括ることができるように思います。
第一のキーワードは、「分断」です。
たとえば宮城県でも、
仙台と石巻、そして南三陸・気仙沼とでは、
まったく状況が異なります。
明らかに、仙台は「復興」の足取りが速く、
北上するにつれて、その歩みは遅くなります。
しかし、先行しても、困難が減るわけではありません。
したがって、「復興」の先行している地域と後発の地域とで、
互いの苦しみを理解しあうことが困難になっています。
また、「おとうさん」たち、つまり、農業に従事する主に男性たちは、
行政との交渉において、先行します。
他方で、「おかあさん」たち、つまり、生活の先行きを模索する主に女性たちは、
行政からの情報が薄く、先行き不透明な中に佇んでいます。
もちろん、「おとうさんたち」が楽をしているわけではありません。
「おとうさん」も「おかあさん」も共に、必死で、先を見通そうとしています。
しかし、互いの間には分断が生まれています。
そして、「お金」がこの分断を深刻化しています。
もう、「震災以前」と同じ生活はできない。
これは、絶対命題です。
「新しいブドウ酒」は「新しい革袋」を必要としています。
しかし、保険金が入った方々は、その臨時収入によって、
「震災以前」の水準を(形だけでも)保とうとして必死です。
他方で、臨時収入のない人々は、
一刻も早く「新しい生活」を組み立てようと、
やはり、必死です。
両者の必死は、すれ違い、時に齟齬します。
ここには、深刻な分断があるのです。
そして、「フクシマ」の問題があります。
一つの集団、一つの家庭、一個の人格の中にすら、
両極端の情報が入り乱れ、分断が起こっています。
そして、憎しみと怨嗟の刃物が行政や東電の人々を切り分けていきます。
そして、その複雑な機微に疎い他の地域の人々との間に、
はっきりと、しかし見え難い溝が深まりつつあるのです。
おおよそ、以上のような分断があります。
これは、祈りによって和解の架け橋を必要としている被災地の現実です。
第二のキーワードは、「心のケア」です。
近親者を亡くした悲しみは、どんなに大きくとも、病ではありません。
内部被爆を案ずる不安は、どんなに大きくとも、病ではありません。
むしろ、
近親者を亡くしたのに平気でいるところには、ある種の病が予想されます。
この状況で被爆を案じない精神は、病んでいるように思います。
悲嘆や不安を医療によってケアすることは、
ある例外的な事例(それは確かに存在します)を除いて、
不適切なことのはずです。
欧州や北米では、そしてアジア各国においても、
こうした「不安」や「悲嘆」に対しては、
宗教が「心のケア」に当たっています。
そして、そのニーズは、現在の被災地において、はっきりと確認されます。
しかし、東北を含む日本において、その需要に対応する備えがありません。
それで、宗教者(キリスト教徒を含む)は、
一方で、安易な布教宣伝に乗り出し、
却って被災者を傷つけ、顰蹙を買い、
他方で、福音を語ることや証を立てることを躊躇い、
結果として、魂の世話(牧会)の責務を果たせずにいるように見えます。
今一度、この被災地で、伝道とは何か、宣教とは何か、
自分たちの福音とはなんであるかを、見つめなおす必要があるように思います。
これが、二つ目のキーワード「心のケア」で括る祈祷課題です。
三つ目のキーワードは、「小事に忠たらん」ということです。
被災地は、おおむね、「緊急支援」の段階を脱しつつあります。
もちろん、相馬や仙南地域など、支援の手の薄い地域があり、
そうした地域への物資支援などは、これからが本番になるでしょう。
しかし、多くの地域では、持続的な「自立」の支援が求められています。
そして、その用に足る支援者が、決して多くないという現実があります。
情熱と愛を以て被災地に飛び込む人々は、多くありました。
しかし、それを持続する体制を作り出せた人々は、一握りでした。
伝票を作成し、記録を残し、約束を守る。
そうした「小事」への忠実さが、求められています。
それがあれば、持続するのです。
しかし、その「小事」の困難であることを思います。
結果、多くの団体が活動を止め、
あるいは、官僚的な組織になって硬直化してしまっています。
いずれにしても、被災者にとっての悲劇です。
キリストにつかえる熱意を以て、「小事」に忠たらんことを願っています。
そのために必要なすべてが満たされますように。
どうぞ、私たちのためにも、お祈りください。
以上、三つのキーワードでまとめてみました。
お祈りくださること、それは、何よりもの支えとなります。
本当に心強く存じます。
それでは失礼します。
クリスマスの輝かしい季節、
皆様に、インマヌエルの祝福があふれますように。
感謝して
川上直哉
プロジェクトをつなぐこと・教会を繋ぐこと
先々週の木・金曜日は、忘れがたい二日間となりました。
まず、金曜日の午前中に、「食品放射能測定所」設置のための資金申請書のプレゼンテーションが、「NCCエキュメニカル震災対策室」様からの要請で、セットされていました。
そのための準備の会合として、共同で計測所を設置する「いわきCERSネット」の実務担当者の皆様と、前日の木曜日にお会いすることになっていました。
そして、その木曜日の夜、「名古屋キリスト教協議会」の皆様と、お会いすることになっていました。これは、「姉妹教会プロジェクト」と「放射能リトリート・プロジェクト」の両方のご協力を頂くための会合でした。
私は、仙台に来て10年経ちますが、震災前まで、ほとんど仙台を出たことがありませんでした。被災後、ようやく少しずつ、東北がいかに広いかを知らされています。今回、福島の広さを、私は初めて知らされました。
「名古屋に行く」のであれば、「郡山から新幹線」でよいはずだ。「郡山」は「いわき」のとなりだ。だから、「いわき」に行って、そこから高速道路で「郡山」に行き、そこから新幹線に乗れば、きっと、夜に名古屋に到着する――。
木曜日の朝早く、自宅でグーグルマップで経路を確認したところ、上記の計算は全く間違っていたことに気づきます。「いわき市」の周りをどう探しても、「郡山市」が見えない。
実際、当日は、相当無理なスケジュールで動くことになりました。
朝9時半に仙台を出立しました。目指すは、いわきアッセンブリー教会。到着予定時間は11時半でした。しかし、つかない。高速道路は片道通行のために渋滞気味。到着は、12時半となります。
それでも、30分の会議は、いわきアッセンブリー教会の奥田先生の祈りの励ましによって、意義あるものとなりました。そしてそこから、日本基督教団磐城教会へ、「いわきCEARSネット」代表の住吉先生のバイクで移動します。それが、冒頭の写真でした。
新幹線までの時間がないことを知った住吉先生が、バイクを回してくださったのです。私にとっては生涯初の「ハーレイ体験」。忘れがたい経験となりました。到着を待ちわびていた理事の三枝先生の、嬉しそうに写真を撮っておられたその笑顔! 到着した磐城教会の上竹先生も、びっくりというか、あきれるというか、複雑な、でもとても素敵な笑顔でお迎えくださいました。
ともかく、そこで、無事、理事の三枝先生と合流し、郡山へ向かいます。新幹線は2本遅れましたが、名古屋には無事にたどり着きました。夜の7時から、会議が始まりました。
会議は、9時まで、休みなく続きました。被災地の現状を、私がお話ししました。放射能の問題とその悩みを、三枝先生がお話しくださいました。
被災地の現状は、とにかく、「分断」の苦しみの中にあります。先行して「復興」してゆく場所と、いつまでも被災直後の様相を残す場所。
先行きの展望を苦しみながら組み立てる領域と、いつまでも何も先が見えない領域。放射能を深刻に恐れ避難する人、そのことに「風評被害」を読み取って苛立つ人。
教会は、キリスト者は、愛の使者となるべきだと、私は思います。
和解をもたらすことが、福音に支えられる私たちの立場だと、そう思います。
しかし、それは忍耐を要します。
忍耐のためには、祈りの支えが必要です。
「姉妹教会プロジェクト」とは、そうした支えを生み出す働きです。その必要性を、私たちは強く思いながら、話し合いを進めました。
また、特に福島の牧師は、苦悩の中にあります。教会員を愛し、教会を離れられないという思いを強くされている方が多い。そうした先生方に、祈りの支援が、どうしても必要です。
他方で、祈る側・被災地から遠く離れてお住いの教会の皆様にとって、情報が決定的に欠けています。誰かが、その欠けを埋めなければ、祈りたくても、祈れない。
私たち「東北ヘルプ」は、「教会の直接宣教」を支援するために、被災地を広く回り、状況調査を積み重ねて参りました。それは、ご寄付いただいた義捐金を神様の御心にかなう仕方でお届するための努力でした。
また「東北ヘルプ」は、「外国人被災支援」を行うために、被災地を丹念に回り、被災者の聞き取り調査を続けています。
そしてまた、仮設住宅などの方々への自立支援を通して、あるいは「心の相談室」の傾聴活動を通して、私たちは、被災者各位の必要と悩みとを知る機会を得てきました。それらは、それぞれ個別のプロジェクトの成果です。
しかし、その成果は、別のプロジェクトに繋がって行く・繋がって行かなければならない。
東北ヘルプには、「事務局」が置かれています。「東北ヘルプ事務局」の仕事とは、なんでしょうか。それは、一つ一つのプロジェクトを繋ぐことなのだと思います。それは、あるいは、一つ一つの教会・一つ一つの教会ネットワークを結び合わせる、大きな仕事なのかもしれません。
そうしたことを思いつつ、また今週も、事務局は業務を続けて参ります。皆様のお祈りを、心からお願いする次第です。
(2011年12月4日 川上直哉 記)
10月も終わります
東北ヘルプ事務局が、財団法人となってから、2か月が経とうとしています。多くの方々の祈りと支えを受け、あっという間に、2か月が過ぎました。その間に、多くのプロジェクトが企画され、幸いなことに、いくつかは動き出しています。
今日、宮城県庁記者クラブへ、以下の文章を、入れさせて頂きました。所謂「プレス・リリース」というものです。この間の成果を纏めてみたものですから、感謝しつつ、皆さまにもご連絡をいたします。
2011年10月27日
報道機関各位
「東北ヘルプ事務局」のお知らせ
仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ) 事務局長
財団法人東北ディアコニア(東北ヘルプ事務局) 理事長
川上直哉
電話:022-263-0520
Fax:022-263-0521
URL:http://touhokuhelp.com
拝啓
秋冷の候、貴社愈々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
仙台圏にある約100の教会で構成されています「仙台キリスト教連合」は、3月18日に「被災支援ネットワーク」を立ち上げました。この団体は任意団体であり、「東北ヘルプ」という通称の下、情報収集と募金活動を行ってきました。多くのご支援を頂き、今秋、この事務局が一般財団法人「東北ディアコニア(通称:東北ヘルプ事務局)」となり、任意団体「東北ヘルプ」の活動を永続化させるための仕組みが出来上がりました。また、日本キリスト教協議会との連携の中で、海外のNGO等の支援を得、いくつかの具体的な被災支援プロジェクトを立ち上げました。いよいよその活動が具体化してまいりましたので、皆様にお知らせしたく、ご連絡を申し上げた次第です。
敬具
プロジェクト一覧:
-
1.外国人被災者支援プロジェクト:
被災県下にお住まいの「外国人(外国にルーツを持つ方々)」の被災状況を調査し、必要な社会資源に繋ぎ、「被災支援ハンドブック」を作成し、「外国人被災者支援センター」を立ち上げる。また、11月8日に東北教区センターにて、全国の関係団体と共に、シンポジウムを開催し、情報交換と支援の可能性を検討する。(当然のこととして、支援対象はキリスト者に限らない。以下同じ。) - 2.食品放射能測定プロジェクト:
放射能汚染地域、とりわけ福島県中通り在住の方々の不安を緩和するために、仙台市といわき市に食品放射能測定機「LB2045」を5台設置する。計測所にはカウンセラーを配置し、「心のケア」にも努める。尚、計測された数値は第三者には公表しない。 - 3.ラジオ番組「Café de Monk」及び電話相談プロジェクト:
宮城県宗教法人連絡協議会が後援して設立した「心の相談室」を支援し、ラジオ番組を通して各界の文化人による「いのちのメッセージ」を被災者に届ける。また、日曜日・水曜日の15時~22時に宗教者(神道・仏教・キリスト教)が電話相談をフリーダイアルで受け付ける。ラジオは、この電話を告知するためにも活用される。 - 4.共同体の立上げ支援プロジェクト:
仮設住宅支援者や仮設住宅の住民組織の活動を支援し、共同体の立ち上げを促す。現在、5つの仮設住宅を支援し、更に複数の支援を検討している。
以上
事務局とホームページ リニューアルのお知らせ
皆様のご支援に心から感謝いたします。
3月11日の大震災から一週間後、3月18日に、私たち「東北ヘルプ」は誕生しました。
それは、「募金の受け皿」と「情報の集約整理」を担うべく始まったささやかな試みでした。
当初は、一カ月の働きのつもりでいました。
しかし、皆様のお励ましを受け、活動は一カ月ずつ、延長して行きました。
5月頃、私たちの働きの継続を求めるお声が、一つの運動となってまとまり始めます。
そして、熟議の結果、財団法人を作って活動を継続することとなりました。
先月以来その新しい体制の構築に取り掛かり、今漸く、一つの形を見始めています。
ここに、ホームページを刷新し、新しい私たちの体制について、ご報告をいたします。
下のボタンを押してください。ご報告が、表示されることと思います。
私たちの活動は、いよいよ、皆様のご加祷を必要としています。
今後、このホームページを用いまして、積極的に活動報告をいたします。
どうぞ、これからもお覚えくださいますよう、お願いいたします。
皆様に、心からの感謝をこめて。神様のお守りを感謝して。
東北ヘルプ事務局 川上直哉
会議という仕事
「東北ヘルプ事務局」の仕事は、事務と会議に尽きます。私たちは、直接被災者を支援することを、あまり、しません。ただ、支援の為の枠組みを考え、その為に連絡調整をし、話し合い、その記録を整理し、実行される際の連絡を行い、記録を取る。それが、私たちの仕事のほとんどとなります。
私たち「東北ヘルプ」のホームページがあります。http://touhokuhelp.comです。そこに、来客者名簿があります。ここに書かれている方々との打ち合わせの他に、事務局の外での会議があります。特に事務局長は、外部で多くの会議を行います。
例えば、手元の手帳を開いて、先週の会議を振り返ってみます。
月曜日、「東北ヘルプ事務局」のスタッフミーティングと理事会がありました。
火曜日、ホームページの管理についての会議を業者さんと行いました。
火曜日夜、東京で、日本キリスト教協議会の皆様と会合しました。
水曜日、スイスから「ミッション21」という団体の皆さまと話し合いを行いました。
木曜日午前、ドイツのオーケストラの方が事務局においでになり、会談しました。
その後、提携している支援団体「若林ヘルプ」の代表と打ち合わせを行いました。
木曜日午後、立正佼成会仙台教会長様と、宮城県宗教法人連絡協議会長様と、10月19日に行われる宗教法人研修会の打ち合わせを行いました。
木曜日夜、仙台キリスト教連合の全体会合を行いました。
金曜日午後、「サマリタンズ・パース」様と会議しました。その後、仙台市内の仮設住宅で、行政の職員様と支援団体の方とで、今後の相談をしました。
会議においては、しばしば、現在までの「東北ヘルプ」の働きを語り直すことになります。語り直すうちに、次第に、今現在直面している課題に気づかされます。
今直面している課題は何でしょうか。それはおそらく、「救援と宣教」という課題だと思います。「心への支援」の必要が指摘されています。欧米においては、「心への支援」に、二つあります。「心理学的な支援」と、「宗教的な支援」です。この後者、「宗教的な支援」の問題が、「救援と宣教」という課題において、考えさせられているのです。例えば、スイスからのお客様に「Seelsorge=魂への配慮」ということを語りました所、深く得心されたような反応を頂きました。別な言葉では、「スピリチュアル・ケア」とも言われます。こうした宗教的な支援は、「心への支援」として、潜在的に必要とされています。しかし、それは、なかなか提供することができない。私たち宗教家は、この問題に、今、取り組んでいるのだと思います。今、会議の中で、そのことに気づかされます。
過去を振り返ります。阪神大震災の時、性急に布教活動を行った宗教団体は、ほとんどすべて、被災者から拒絶されました。「救援」を「宣教」の為の道具とすることは、被災者の尊厳を深く傷つける危険性を帯びるからです。しかし、宗教活動を全くしないならば、宗教系の被災支援団体は、そのアイデンティティーを深く問われることになります。ここに、問題のむずかしさがあります。
今、この地震・津波・原発の被災下において、多くの団体が、「救援と宣教」という課題に向き合っています。多くの失敗があることでしょう。しかし、取り組みは始まっています。私たちは、幅広い団体との会議を積み重ね、よく見聞きし、忘れずにいようと思います。そうして、試行錯誤の中にある働きを支援し、共に考えて行きたいと思っています。
(2011年10月9日 川上直哉 記)
「東北ヘルプ」の役割(岩手訪問報告)
先週末、9月24日(土)、岩手県へ行って参 りました。その出張は、私たち「東北ヘルプ」の 役割をよく示す内容となりました。今回は、私た ちが行おうとしている支援の内容をお話しようと思 います。 岩手県内のエキュメニカルな教会ネットワーク のうち、二つの事務局を訪問することが、私たち の目的でした。二つの事務局とは、「3・11い わて教会ネットワーク」の事務局である「盛岡聖 書バプテスト教会」と、「岩手伝道協力会」の事務 局である「花巻キリスト伝道所」でした。
午前中に、盛岡に到着しました。近藤愛哉先生 と大塚史明先生と、お話をすることができまし た。
まずは、互いの状況を報告し合い、連携を模索 し、そして、共に祈りました。この出会いが、次の 働きの豊かな土壌となることを信じて、私たちは次の目的 地へと向かいました。 次の目的地は、花巻です。熊谷英三郎先生が面談くださいました。熊谷先生とは、既に 一度、被災支援の為の連携を相談していました。今回は、その時に話題になった大船渡の 仮設住宅への支援を具体的に相談することができました。
熊谷先生の御親戚がお住まいになっている大船渡の仮設住宅には、事情があって、ほと んどNGOが支援に入っていないとのことでした。そこで私たちは、熊谷先生のご紹介を 頂いて、大船渡へ向かいました。夕方でした。到着すると、日が暮れました。遅い時間で したのに、仮設住宅の町内会長さんが、私たちを歓迎してくださいました。
盛岡聖書バプテスト教会
仮設住宅は、まさに町内会が組織されようとしているところでした。町内会長に立候 補しされた方がおられ選出されたばかり で、熱意に溢れていました。行政と業者と NGOの間で、支援が欠落していました。 私たちにも、お役にたてることがありそう な状況でした。 早速、私たちのネットワークに連絡し、大 船渡の教会と連携を取り、10月27日に 再度お伺いしてご支援の内容を具体的に検 討することになりました。
盛岡聖書バプテスト教会にて今回の岩手出張は、被災支援における私たちの役割をよく示しているように思います。
私たちには、1:教会のネットワークを広げ、情報を収集し、2:事情があって埋もれ・隠れている支援の必要を見出し、3:再び教会のネットワークにつないで支援を展開 する、ということが、役割として求められているのだと思います。
また、支援ということは、常に次の三つを必要としていると思います。つまり、1:主 体となり熱意をもって他人の為に尽くそうとする人と、2:その人をサポートする集団 と、3:欠損し・必要とされ・求められている支援、の三つです。私たちは、「3」を見 出し、「2」の役割を担うべきなのだと思います。しかし、何より大切なのは、「1」の 役割を担う人です。私達は、この役割を担うことができません。「1」のためには、祈り が必要です。誰かがすべきであることを、自分がすると、引き受けてくださる方。自分が しなくてもよいかもしれないけれど、それを自分で引き受ける方。そうした方は、神様が 志を与えて下さった方です。そうした方が起こされることを、私たちは祈りたいと思いま す。大船渡の仮設住宅には、そうした方がおられました。神様が志をたてさせてくださっ たのだと、そう思いました。私たちは、そうした方々のお手伝いをすることで、神様に奉 仕する栄誉に与るのだと思います。
皆様のご支援を頂き、上記のような働きに与ることができること。そのことを、改めて 感謝しています。
(文責:川上直哉)
15名の韓国視察団・表敬訪問される
東北ヘルプの運営は年間4千万円のドネーション(献金)を受けて予算立てが行われております。その予算はNCC(日本キリスト教協議会)震災対策室が海外に募金の呼びかけをし集められたものです。世界中から反響がありましたが、その中でも大きく反応があったのがドイツと韓国でした。今回訪れた15名ほどの視察団は、韓国で募金を集めてくれている人たちの代表です。9月7日に東京のNCC事務所で9千万ウォン授与式があり川上事務局長が受け取りました。
こちらに訪問された8日は東松島、蒲生のシーサイドバイブルチャペル、仮設住宅と被災地を視察し、当事務所に寄られました。川上事務局長は仮設住宅からアテンドし事務所では改めてのご挨拶や質疑応答がなされました。「一度だけの支援でしたら事務所は要りませんでした。しかし、活動を通じて支援が長く続くことが分かり、適切な対応のために事務処理が必要なのもわかりました。この事務所は皆さんと日本の人々との友情のためにあります」と川上事務局長の挨拶。
視察団の方々からは、「震災支援に対してどういう方針ですか」と質問がありました。「私たちは日本キリスト教団東北教区と一つになって活動しております。援助は被災者の方に決して押し付けることをしません。信仰を押し付けない、ものやお金、すべてを絶対に押し付けない。ただ要請があればどんなものにも直ぐに対応出来るようにしておく。それが私たちの方針です。今、被災地から必要とされているのは希望です。それと仕事だと思っています」。さらに「外国人被災者の支援はどういう風に始まりましたか」、「それはJEDROのホ・ベッキさんを通じて外キ協(全国キリスト教連絡協議会)が要請してくださったからです。外国人移住者の被災状況の調査やメンタル面のケアなどを行っています」など熱心な質疑応答がありました。
わずか40分の滞在でしたが、内容の濃いものとなりました。
戸枝
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